おやすみのキスがないと眠れない。
「顔真っ赤だよ?」
圭人は、私の頬に手を当てて言った。
ひんやりとした手のひらが、気持ちいい。
だけど、恥ずかしすぎて、私の顔は段々と地面を向いていく。
「ねぇ、陽葵?」
「っ......」
それに気づいた圭人が、下を向くことを許さなかった。
頬に当てていた手を顎に持っていき、クイッと私の顔を強制的に上げる。
その手の動きに逆らえない私は、圭人の顔を見つめるしか無かった。
一度目が合ってしまうと、もう逃げられない。
「......すき」
その二文字が私の口から漏れた。
言葉にした途端に、ふっと心の中に入ってくる。
ーー私は、圭人が好き?
考えてみると、今までドキドキしたのも、好きだからと思うとしっくり来た。
この気持ちは、心地がいい。
「っ......!なに言ってるの?」
だけど、圭人からの反応は予想をしていないものだった。
私から顔を背けて、一切こっちを、見てくれない。
もしかして、言っちゃダメな事だったのかなーー。