おやすみのキスがないと眠れない。
圭人は大丈夫でも、私は大丈夫じゃない。
たしかに、私の背中は塀があるし、雨のお陰で傘がある。
見えないだろうけれど、2人がくっついている時点で、何をしているか察する人も居るだろう。
「は、離して?」
「まったく、そんな可愛い顔しちゃって。続きは帰ってからにしてあげるから、早く帰ろうか?」
続きってなんだ......。
それを聞くと、とんでもない事が帰ってきそうなので、私は何も言わずに、鼻歌でも歌いそうなほどご機嫌な圭人と家に帰った。