おやすみのキスがないと眠れない。



「それで、キスは?してくれないの?」


「な、なに言ってるの?そんなこと......できない!」



“しない”ではなく、“できない”だ。


そんな事をしたら、私の心臓がバクバクしすぎて壊れてしまう。


それに、圭人とは付き合っている訳では無い。


今まで、一緒にいてもそんなこと言われたことが無かったのに、どうしてしまったのだろう......。


真顔で言った圭人が、おかしくなってしまったのだろうか。



「俺はおかしくないから」


「っ!エスパー!?」



また、考えていることを言い当てられた。



「面白いね。陽葵と居るとほんと、飽きない。ちなみに、今のは声に出てたから」



そう言われて、私は咄嗟に両手で口を塞いだ。



「しょうがないから、これで許してあげる」



圭人のその言葉が、私の耳に届く頃には、グイッと腕を引かれて抱きしめられた。


気づいた時には、ベットの上で圭人の腕の中に収まって寝っ転がっている。


今の一瞬で、何が起きたんだーー。

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