ゾーイ・テイラー〜終幕、のちにキス〜
「今日は一人なのか?」

「うん。ナタリーとネイサンは用事があるって」

切り株に座り、いつものようにロネとゾーイはおやつを食べ始める。今日はクッキーをロネは用意していた。

「可愛い……」

アイシングされたクッキーを見てゾーイは微笑む。ロネはクッキーを口にしながら訊ねた。

「ゾーイ、せっかく誤解が解けたのに街には来ないの?森でずっと暮らすの?」

もうゾーイはこの森で暮らす必要はない。しかし、ゾーイは街の人たちから「街においで」と言われても森から離れないのだ。

「お母さんと暮らした森だからな。……ここが私にとって一番落ち着ける場所なんだ」

「そっか……」

ロネは少し残念だと思いながらも、ゾーイが選んだならと自分に言った。ゾーイは街に行かないわけではない。これからは堂々と色々な場所へ行けるのだ。

「ゾーイ」

ロネはゾーイを真剣な目で見つめる。そして魔法の杖を取り出した。

「プロメッサ!」
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