クールな彼のベタ惚れ事情
「わ、私は帰りま……きゃっ!?」
慌てて帰ろうとしたのも束の間。
久我がそれを許してくれず、私を後ろから抱きしめてきた。
「はい、捕獲」
「……っ、は、離して!」
「なに他の男に鼻の下のばしてんの?」
「はい?」
暴れようとしたけれど、力が強くて敵わないことを悟る。
本当に久我って強引だ。
「俺のものって自覚、ないんだな?」
「ま、待って待って……なんのこ…っ」
耳にかかる久我の吐息。
ぜったいにわざとだ。
思わずビクッと反応してしまう。
「せ、先生帰ってきちゃうから……」
「いつものうるさい志穂はどこにいったんだ?」
余裕そうで、意地悪な声。
私の頬を彼の長い指が撫でる。