クールな彼のベタ惚れ事情
───『なんか、日南ってかわいいな』
その一言が全ての始まりだった。
前期の初めから提出物を出さなかったり、授業中に寝ている問題児の久我に舐められないよう、強気で話していた私。
周りからは『よく恐れずに話せるね』と言われたけれど、見た目が怖いだけで暴力を振るうわけでもないし平気だった。
何事にも全力投球がモットーである私は、先生からも頼られていたため、久我を相手に折れるわけにはいかなかった。
勉強も運動もカフェで働いているときも、中途半端にやるのが一番嫌いで。
こうなったら久我を更生させてやるんだ。
なんて思った私は、しつこく久我に詰め寄っていた。