クールな彼のベタ惚れ事情
そんなある日。
『なんで久我なの?』
その日は文化祭の話し合いのため、学級委員と生徒会を交えた集まりがあったのだけれど。
サッカーの試合が近く、どうしても部活を休めないという向井くんの代わりに、なぜか久我がやってきたのだ。
てっきり久我には嫌われていると思っていたため、素直に驚いた私。
『なに、俺じゃ悪いのか?』
『いや、別に……あ、でも寝ないでよね!』
『仮にも向井の代わりだからな、まじめにやる』
『へぇ、久我にしては珍しいね』
『あ?』
『いや、ごめん』
私の言葉に少しイラッとしたようで、睨まれてしまう。
この鋭い瞳に恐れている女子が多いのかもしれない。
『でもまあ……ありがとう。今日は生徒会も交えて文化祭の話するみたいで、ひとりじゃ心細かったんだ』
他に人がいてくれただけでも心強くて。
安心した私は思わず笑みがこぼれた。