クールな彼のベタ惚れ事情



「志穂?さっきから歩き方がおかしいけどもしかして……」

「日南さん!」


少し焦りの含まれた声が私の名前を呼んだ。
これには絢も口を閉じ、私と一緒に振り返る。


「向井くん、どうかした?」

そこには向井くんの姿があった。
どうやら男子の授業も終えたようだ。


「日南さん、さっき足捻ったんだよね?」
「えっ……」

「無理はよくないよ、今すぐ保健室に行こう」
「ま、まって向井く……」


どうして向井くんが足捻ったことを知って……?
なんて、今はそれどころではない。


「向井くん、本当に大丈夫だから……!」

「まずは足を冷やして、テーピングを巻いて固定したら、歩くときの痛みは減るから」


向井くんは私のとなりに立ち、足に負担がかからないように体を支えてくれて。

一瞬悩んだけれど、ここは素直に甘えることにした。


保健室に着くと、先生が適切な処置を施してくれた。

そのおかげもあってか、痛みは最初よりだいぶ引いていた。

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