クールな彼のベタ惚れ事情
「よし、これで大丈夫ね。
もし痛みが引かないようなら病院に行くように」
「はい」
「どう?歩けそう?」
「あ、はい……!」
試しに立とうとすると、そばにいた向井くんがふたたび支えてくれて。
「ご、ごめんね向井くん……あの、着替えに行かなくて大丈夫?」
「日南さんは自分の心配をして」
いつもより厳しい向井くんを前に、おとなしく黙る私。
まだ少し痛みはあるけれど、歩く分には平気だ。
「向井くん、本当にごめんね」
「我慢はよくないよ。悪化する場合もあるんだから」
「そうだよね……」
「でも日南さんが大丈夫そうでよかった」
ふたりで更衣室へと戻る中、向井くんが安心したように笑う。