クールな彼のベタ惚れ事情



「でも、どうして私が怪我したって気づいたの……?」

「それは……まあ、無意識のうちに日南さんを見ていたっていうか」

「無意識……?」


つまりたまたまってことか。
それに救われたのだから、本当に感謝すべきである。


「そっか、本当にありがとう」
「……うん、やっぱりそうなるよね」

「向井くん?」
「あのさ、俺がここまで日南さんを気にかけてるのは……」

「あっ、志穂!あんた大丈夫だったの!?」


向井くんがなにかを言いかけようとしたけれど、着替え終わって更衣室から出てきた絢の姿があった。


「うん、大丈夫!ごめんね、心配かけて」

「本当にびっくりしたんだから。
いきなり向井が志穂をさらっていくし」

「さらって……!?」


それは誤解だと言おうとしたけれど、絢はなぜか向井くんを見てニヤニヤ笑っている。

< 30 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop