クールな彼のベタ惚れ事情
「でも、どうして私が怪我したって気づいたの……?」
「それは……まあ、無意識のうちに日南さんを見ていたっていうか」
「無意識……?」
つまりたまたまってことか。
それに救われたのだから、本当に感謝すべきである。
「そっか、本当にありがとう」
「……うん、やっぱりそうなるよね」
「向井くん?」
「あのさ、俺がここまで日南さんを気にかけてるのは……」
「あっ、志穂!あんた大丈夫だったの!?」
向井くんがなにかを言いかけようとしたけれど、着替え終わって更衣室から出てきた絢の姿があった。
「うん、大丈夫!ごめんね、心配かけて」
「本当にびっくりしたんだから。
いきなり向井が志穂をさらっていくし」
「さらって……!?」
それは誤解だと言おうとしたけれど、絢はなぜか向井くんを見てニヤニヤ笑っている。