クールな彼のベタ惚れ事情
「ほら、次の授業まで時間ないよ。
早く着替えておいで」
「わかった……!」
まずは次の授業に間に合うよう、早く着替えないと。
絢には先に教室へ行ってもらい、私は更衣室で着替えを済ませる。
「……志穂」
そして教室へと戻る最中に、ぶっきらぼうな声が耳に届いた。
視線を向けると、校舎前に設置されている自販機の前に立つ久我の姿があった。
炭酸のジュースを手にしており、どうやら自販機で買ったばかりのようだ。
「学校で名前を呼ばないでよ」
「怪我、大丈夫なのか?」
「えっ……久我も知ってたの?」
なんだか恥ずかしい。
こんなにも怪我のことをバレていただなんて。