クールな彼のベタ惚れ事情



「怪我したらすぐ保健室行けよ」
「うっ……だって授業を抜けたくなかったっていうか」

「バカ。自分の体を第一にしろ」


少しご立腹の久我に、頭をわしゃわしゃと撫でられてしまう。

おかげで髪はボサボサだ。


「ちょっと、なんでこんなことするの……もー、髪がボサボサ」

「なんかムカつくから」
「え……やっぱり怒ってる?」

「自分にな」
「どうして?」


久我の怒りの矛先は自分自身に向いているようで。
その理由はわからない。


「怪我した志穂のそばに行けなかったから」
「えっ……私が原因?」

「向井に先越されたのが腹立つ」
「……もしかして、ここで私を待ってくれてたの?」


どうやら向井くんが私のそばに駆け寄り、保健室に連れて行ってくれたことに対して不服なようで。

どうやら久我がその役目を果たしたかったようだ。
けれどその気持ちだけで十分嬉しいのに。

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