クールな彼のベタ惚れ事情
それは私だけでなく、クラスのみんながそうだった。
「そんなに嫌なら日南も来いよ。
……日南?」
黙る私を不思議そうに見つめる久我。
その直後、一度静かになった教室が先ほど異常に騒がしくなる。
「な、なに今の笑顔……!」
「待ってギャップありすぎない?かわいい……!」
「あれがモテる男のギャップがよ……くそ」
ほら、みんな今の久我の笑顔にグッときたのだ。
女子だけでなく、男子までもが騒いでいて。
また黒い感情が私の胸を覆う。
「日南、行かないのか?」
「……行く」
一気に気分が下がった私は、暗い気持ちのまま、久我と一緒に提出物を出しに行くことにした。
「おい、ちょっとからかっただけだろ?
そんな拗ねんなよ」
「……別に、拗ねてない」
「うそつけ。バレバレな顔してる」
「理由はそっちじゃない……」
「そっち?」
無自覚であんな笑顔見せるの、本当にズルい。
みんなぜったいに久我の笑顔を見てキュンとしたはずだ。