クールな彼のベタ惚れ事情



「久我がみんなの前で笑うから……ぜったいに印象良くなった」

「俺、笑ったっけ?」
「えっ……本気で言ってる?」

「ああ。まったく記憶にねぇ。
ただ志穂がかわいかったなってことぐらい」

「……っ、じゃあ騒がれてたのも気づいてない?」

「別に、周りなんて意識してねぇよ。
俺が志穂しか見えてないってことだな」


なにそれ、どうしてそんなことさらっと言えるの。
悔しいけれど、喜ぶしかない。

これだと単純だって思われてしまう。


「失礼します……って、先生いないね。
勝手に入っていいのかな」

「持って来いって言われてんだし、いいだろ」


平静を装って数学の準備室に行けば、見事に先生がおらず。

久我の言葉を信じて中に入った。

< 43 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop