クールな彼のベタ惚れ事情



「よし、これで完璧ね。
ありがとう久我」

「どういたしまして」


教室ではひどい遊ばれ方をされたけれど、一緒に持ってきてくれたのは事実だ。


「じゃあ教室に戻って……きゃっ!?」


お礼を言って、準備室を後にしようとしたそのとき。

久我に腕を引かれてしまい、バランスを崩してしまった私は後ろにいる彼の元へと倒れ込んでしまう。


「な、な、なに……?」
「俺にご褒美はねぇの?」

「ご、ご褒美ってなんで?」


いきなりの要望に戸惑ってしまう。
そんな私をよそに、久我は後ろから私を抱きしめ、耳元に顔を寄せて。


「まじめに提出物を出したから」
「当たり前でしょ……!」

「誰もいねぇからいいだろ?」


甘い誘い。
まるで誘導されるようにして、目を閉じて受け入れ体勢に入る。

いつ誰が来るかわからない状況でのキスは、いつも以上にドキドキした。

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