クールな彼のベタ惚れ事情
「向井くん、どうしたの?」
その相手とは、同じクラスメイトの向井凌人くんだった。
「ごめん、ノートを持ってくるよう先生から言われてたよね。集めてくれてありがとう、俺が持っていくよ」
「え、気にしなくていいよ……!先生は私に頼んだし、それに向井くん、放送で呼び出されてなかった?」
確か昼休みに入るチャイムが鳴るなり、向井くんは放送で呼び出されていた気がする。
「もう終わったよ。
あ、プリント置いてくるから待ってて」
それだけ言い残し、向井くんは手に持っていたプリントを置きに、教室へと入っていった。
「向井くん、いい人だなぁ……」
爽やかなイケメンと言われており、男女共に人気が高い。
そんな向井くんとは前期から同じ学級委員として、他の人たちよりも関わりが多かった。
「ごめんね、お待たせ」
「あ、うん……って、いやいや!
本当にいいから!向井くんはご飯食べてて!」
なに向井くんを待っていたんだ私は。
本当にバカである。