クールな彼のベタ惚れ事情
「じゃあ一緒に行こう」
「えっ……?」
「俺も任せっぱなしだと心苦しいから、せめて一緒に」
ここにきて向井くんの爽やかスマイル。
ダメだ、キラキラ輝いていてまぶしい。
「うっ……じゃ、じゃあお願いします」
「うん、決まりだね」
断りきれなかった私は、向井くんと一緒に国語の準備室へ行くことになった。
「なんの呼び出しだったの?」
「部活の顧問からの呼び出しだよ」
「そういえば向井くんってサッカー部のキャプテンだったよね、すごいなぁ」
部活は中学が最後で、今は両親が営むカフェの手伝いをしている私。
そのため部活に力を入れる人たちに対しての憧れもあった。
「日南さんはカフェで働いているんだよね?」
「えっ、どうして知ってるの?」
「江本さんから聞いたんだ」
「絢が?」
江本とは、私の友達である江本絢のことだ。
まさか絢がそんな話を向井くんにしていただなんて。