クールな彼のベタ惚れ事情
「よしっ、じゃあこれで完璧だね!」
先生は行ってしまったけれど、指示通りにノートを机に置いて任務完了だ。
お腹が空いているため、早く教室に帰ってお弁当を食べよう。
そう思い、準備室を後にしようとしたけれど。
「日南さん……!」
なぜか向井くんに呼び止められてしまう。
パッと振り返ると、向井くんは視線をはずしてきた。
「向井くん?」
「あ、いや……えっと」
ここまで慌てる向井くんはなんだか新鮮だ。
なんて、今はそれどころではない。
「あのさ」
ようやく向井くんが私と目が合ったかと思えば。
「お前ら、そこでなにしてんの?」
低く不機嫌そうな声が聞こえ、私と向井くんは同時に声のするほうへと視線を向けた。
そこには先ほどノートを提出するよう求めていた久我が立っていて。