その溺愛、重すぎます！〜甘い王子様の底なし愛〜

「でも……私は橘くんを怒らせてしまって」
「怒らせた？俺、まったく怒ってないよ？」

「帰るとき、橘くんはずっと黙ってて……怒らせたのかと」

「どうやったら俺を意識してくれるかなって考えていたんだ。このまま姫野さんを離すわけないからね」


良かった。

橘くんはいつもの優しい笑みを浮かべていて、怒っているわけではなかったようだ。


わざわざ私を家まで送ってくれるだなんて、どこまで優しい人なのだろう。


私が降りる駅に着いて、橘くんと共に電車を降りる。

いつもはひとりだけれど、今日はとなりに彼がいて不思議な気持ちだ。


「今日は楽しかったね」
「ほ、本当……？」


家までの道を歩く中、橘くんがそうつぶやいた。
その言葉に思わず食いついてしまう私。

本当に楽しいと思ってくれたのだろうか。