その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜






「あら、天音。
もう帰ってきたの?」

家の中に入った途端、全身の力が抜ける。
思わず玄関先で座り込んでしまった。


「って、天音!?
どうしたの、そんなに顔赤くして」


リビングから顔を覗かせたお母さんは、私を見るなりおどろいたように駆け寄ってきたけれど。

まだ胸がドキドキと鳴り止まない中で、私はお母さんの言葉にも反応できないでいた。


だって私は、どうしてか……橘くんにキス、されて……。


「……っ」

先ほどのことがまたすぐ頭に浮かび、かき消すようにして首をブンブンと横に振る。


「天音、本当に大丈夫?
とりあえず部屋の中に入りなさい」

「う、うん……」


お母さんに不審そうな目を向けられる中、ゆっくりと家に上がる。


「服も買ったのね。あっ、すごくかわいいワンピースじゃない。天音に似合うと思うわ」

「……っ、そうかな」


ワンピース姿は橘くんの前だけで着てほしいと言われたけれど、もしかして冗談じゃなかったのだろうか。


その言葉もキスも含めて、一体橘くんはなにを考えているのだろう。

どれだけ考えようが、答えなどひとつも思い浮かばなかった。


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