その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
けれどこんな風に抱きしめられて平気なわけがなく、鼓動が速まるのが自分でもわかった。
橘くんに触れられて、平気でいられるほうがおかしい。
だって私は以前、彼にキスされて……。
「……っ」
また思い出してしまった。
あの行為は付き合う上で当たり前のことだというのに。
慣れない私はいつまで引きずるつもりなのだろう。
「姫野さん、最近微妙に避けてくるから悲しかったんだよ」
優しい手つきで私の頭を撫でながら、穏やかな口調のままつぶやいた。
やっぱり避けていたことがバレていたようで。