その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜



また、キスされる。

そう思った私は、反射的に目をギュッと閉じた。
直後、頬に柔らかなモノが触れる。


キスされたときと同じ感触で。
てっきり唇にされると思っていた自分が恥ずかしい。


「やっぱり姫野さんとのキスはおいしいな」
「えっ……」

「きっとおいしいところだらけだね」


キスが、おいしい?
経験がないせいか、その言葉の意味がわからなかった。


「まだ足りないなぁ……」
「あ、えと……そろそろ戻らないと」


どこか物足りなさそうな橘くんがあぶない気がして、慌てて離れる。

少し寂しそうな顔をされたけれど、いつ保健室の先生が戻ってくるかもわからない。

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