その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「ごめんね、橘くん。
これからは待っていてほしいです」
「もちろんだよ。
姫野さんと一緒にいたいから今日も待ってたんだ」
本当はひとりで帰ることに対して寂しいと思っていた。
いつのまにか、橘くんと登下校を共にすることが習慣化されている。
それが少し怖かった。
だってこの関係がいつまで続くかわからないのだ。
「姫野さん?」
「あっ……えと、帰ろう!」
つい深く考え込んでしまい、橘くんに名前を呼ばれてハッとした。
「今なに考えていたの?」
「な、なにも……!」
「そんなに焦って、俺が信じると思う?」
「うっ……」
些細な変化に気付いてしまう橘くんは、鋭い人。
けれど今思ったことを口にするわけにはいかない。
だって橘くんに好きと言われているのに、応えられないまま今日まで恋人関係が続いていたのだ。