その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
だって芽衣ちゃんが橘くんのためを思って、別れるよう言ってくれたというのに……私はそれを拒否してしまったのだ。
今すぐ謝りに行ったほうがいいのではないかと思ったけれど、そんな勇気は出なくて。
明日から芽衣ちゃんと気まずくなったらどうしようと思いながらも、とぼとぼ駅までの道のりを歩いていると……。
「姫野さん……!」
「……え」
橘くんの声が聞こえて、一瞬幻聴かと思った。
パッと振り返ると、橘くんが私のそばまでやってきた。
どうやら走って私のところに来てくれた様子。
「どうして……」
「一緒に帰ろうって言ったのに。
先に行ったらダメだよ姫野さん」
軽く頬をつねられてしまう。
けれどまったく痛みはなく、その手つきすら優しくて。
思わず涙ぐんでしまった。