その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「姫野さんが俺の前で違う男を見ている……?」
「えっ」
その震えた声は、私のとなりから聞こえてきた。
見ると橘くんが顔を歪めていて。
「橘くん……?」
「今ぜったいに一輝を見ていたよね?
どうして俺を見てくれないの」
さらには頬をつんつんされてしまう。
少し機嫌を損ねている模様。
ただ、本原くんを見ていたというよりは、芽衣ちゃんと本原くんのふたりを見ていたという表現が正しい。
「嫉妬深い男は嫌われるわよ?
天音が少し本原を見たぐらいでそんな嫉妬して」
「えっ……嫉妬?」
嫉妬って、橘くんのことを指しているのだろうか。
じゃあ彼はなにに対して嫉妬しているの……?