その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「やだ叶人、すっごくかっこいい!
本当に私の執事にしたいくらい!」
「そんなことないですよ。
俺なんてぜんぜんです」
「なに謙遜してるの?
3年の女子も期待してるんだから!」
教室の前で話しているのは、橘くんと3年生の女の先輩ふたりで。
すごくきれいな女の先輩たちは、笑顔で話しながら橘くんに触れていた。
さらに彼も穏やかな笑みを浮かべており、途端に胸がギュッと締め付けられたように苦しくなる。
「ほら天音、早くあいつに見せつけるよ」
「……っ、ご、ごめんなさい!」
「えっ、天音!?どこ行っ……」
その光景を見るのが辛くなり、気づけばその場から逃げていた。
なんだか私、勘違いしていたみたい。
橘くんの優しい笑顔が、眼差しが。
私だけに向けられているわけではないというのに。