その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜



「あれ、おかしいな……」


胸の苦しさのせいか、思わず泣きそうになる。

目的地もなく校舎の外に出てしまったけれど、とりあえずこんな自分に似合わない格好はやめて着替えようと思ったそのとき……。


「うわっ、見ろよあれ」
「やば、メイドの格好してる女がいる」


ちょうど私が出てきたところから人が現れ、ビクッと肩が跳ねた。

メイドの格好って……私のことだろうか。


「てかあれ、姫野さんじゃないか!?」
「姫野さんって、叶人の彼女の!?」


私の名前を口にされてしまい、今度こそ私のことだと理解した。

慌てて目立つ前に戻ろうと思ったけれど、すでに遅くて。

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