その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜



「か、叶人……ちょうどよかった。
姫野さんが今、泣きそうになってて……」

「君たちが泣かせたんじゃないの?」
「そ、そんな怒んなよ……マジで何もしてねぇから」

「そっか。
じゃあ早く失せてくれないかな、邪魔だから」


これは、相当怒っている。

いつもより低い声が耳に届き、男の子たちはすぐにその場を離れてしまった。


「あ、えっと……橘く」

「とりあえずおいで。
こんな姿、誰にも見せられない」


その言葉に胸が痛む。
やっぱり私なんかがこんな格好するだなんて、似合っていないのだ。

わかっていたけれど、いざ伝えられると苦しくて。
橘くんに見合う女になれないなと思った。


そして橘くんに連れてこられたのは、先ほどと同じ空き教室で。


「じゃあ姫野さんの着替えを持って、俺のところに戻ってきて」

「え、あの……すぐ着替えてきま」
「ダメ。着替えを持ってくるだけでいいから」

「……え」


ぜったいに今すぐ着替えるべきだけれど、橘くんの言葉に従って制服を手に持ち、また彼の元へと戻る。

< 235 / 272 >

この作品をシェア

pagetop