その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「か、叶人……ちょうどよかった。
姫野さんが今、泣きそうになってて……」
「君たちが泣かせたんじゃないの?」
「そ、そんな怒んなよ……マジで何もしてねぇから」
「そっか。
じゃあ早く失せてくれないかな、邪魔だから」
これは、相当怒っている。
いつもより低い声が耳に届き、男の子たちはすぐにその場を離れてしまった。
「あ、えっと……橘く」
「とりあえずおいで。
こんな姿、誰にも見せられない」
その言葉に胸が痛む。
やっぱり私なんかがこんな格好するだなんて、似合っていないのだ。
わかっていたけれど、いざ伝えられると苦しくて。
橘くんに見合う女になれないなと思った。
そして橘くんに連れてこられたのは、先ほどと同じ空き教室で。
「じゃあ姫野さんの着替えを持って、俺のところに戻ってきて」
「え、あの……すぐ着替えてきま」
「ダメ。着替えを持ってくるだけでいいから」
「……え」
ぜったいに今すぐ着替えるべきだけれど、橘くんの言葉に従って制服を手に持ち、また彼の元へと戻る。