その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜



「はい、じゃあ行くよ。
こっちね」

「……え、そ、そこは」


橘くんに手を引かれるままやってきたのは、男の子が着替えるために使っていた1階上の空き教室だった。

ためらいもなくドアを開ける橘くん。


「うん、もうみんないないね」
「でもいつ着替えに戻ってくるか……」

「男子はすでに着替え終えてるよ」


着替え終わっている?


確かに空き教室の中にはひとり分の着替えしかなく、おそらくそれが橘くんの制服だろう。

本当に着替えが終わっているようだ。


「男子は一足先に着替えることになったんだけど、教室出たときに先輩に絡まれちゃって」

「……っ」


先輩とは、先ほどの女の人たちのことだろう。

ふたりともきれいで大人っぽくて。
私なんかと比べ物にならないほど橘くんに見合っていた。

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