その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「本当に心臓が止まるかと思ったよ。日下部さんに、姫野さんがメイド服で脱走したと聞いたときは」
「だ、脱走……!?」
「早速男に絡まれているし……本当に放っておけない。ずっと縛って俺のそばに置いておきたい」
そのとき初めて、橘くんにギュッと抱きしめられる。
どうやら怒っていなかったようだ。
橘くんの腕の中は落ち着いて、あたたかい。
身を任せるつもりが、ついついギュッと抱きしめ返していた。
「……っ、姫野さんが抱きしめ返すなんてめずらしいね」
「ダメ、ですか?」
「ほら上目遣いしない。
ダメじゃないよ、一生俺にくっついてて」
橘くんにダメじゃないと言われたため、さらにギュッと抱きしめる力を強めた。
もっと欲しい、まだまだ足りない。