その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「あ、あの……橘くん」
「どうしたの?」
「恋人のフリって……どんな風にしたらいいのか、わからなくて……」
男性経験のない私が、はたして本当に橘くんの彼女が務まるのだろうか。
不安な思いが増えていく。
「本当に男の免疫がないんだね」
「ご、ごめんなさい……!こんな私が橘くんの……」
「大丈夫だよ。
俺が姫野さんを染めてあげるから」
けれど橘くんは嫌な顔一つせず、むしろ私を落ち着かせるような笑みを浮かべてくれて。
どこまでも優しい彼に、私は救われる。
「けど……そうだね、とりあえず敬語はやめようか。同級生で、さらに付き合ってるのに敬語はおかしいと思われるだろうから」
私としたことが、とんでもない過ちを犯していた。
さっきも橘くんに敬語はやめようと言われていたのに。
無意識のうちにまた敬語を使っていた私は、本当にダメな人間である。