その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「そっか、嬉しいなぁ……姫野さんと距離が縮まった気分だ。あっ、もうすぐ降りる駅に着くね。今日は記念として手をつなごうか」
「あの、橘くん、手はさすがに……っ」
暗い表情から一転、明るくさわやかな笑みに変わった橘くんは、拒否する間もなく私の手を握った。
そのまま電車を降り、改札へと目指して歩く。
すでに同じ学校の人たちから視線が感じ、気まずくてうつむいてしまう。
こうして誰かの視界に映るたび、私のような地味な人間が橘くんのとなりを歩くなんて……と弱気になる。
「おっ、またラブラブ登校してんのか。
見せつけてんな」
「……っ!?」
改札を通ろうとしたとき、男の人の声が近くで聞こえてきて。
とっさに橘くんとの手を離してしまう。