その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「も、本原くん……!」
その人は橘くんと仲が良い、クラスメイトの本原一輝くんだった。
茶色の髪に耳元で光るピアスが印象的な男の子である。
少し怖いイメージがあったけれど、本原くんもよく笑い、明るい印象が強い。
そんなクラスのトップに君臨するようなふたりが私のそばにいることで、余計に窮屈さが増してしまう。
「俺に気なんて遣わなくていいのに。
さっきみたいに手つないで大丈夫だからな?」
「いえ、あのむしろ私は先に行きますね……!」
無理だと判断した私は、ふたりの前から消えることにした。
一度頭を深く下げた後、私は駆け足で学校へと向かう。
幸い、呼び止められることはなかった。
あのままふたりと登校していたら……と思うと、怖くて仕方がない。