その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「じゃあどうしてそんな焦って……」
「あ、あのね芽衣ちゃん」
心配そうに私を見つめる芽衣ちゃんに、本当のことを話そうとしたけれど。
橘くんは私やうわさを流した人を傷つけさせないため、自ら悪者になろうとしてくれているのに、私はそのことを芽衣ちゃんに話そうとしている。
そう考えると罪悪感を抱き、言葉に詰まってしまう。
「天音?」
「あ、の……その、実は橘くんとデートすることになって……」
結局、芽衣ちゃんに事実を話すことはやめた。
私にできることは、橘くんの彼女を演じることしかない。
それに芽衣ちゃんは優しくて友達思いの人だから、もしかしたら『うわさを流したのは誰だ』と怒ってくれるかもしれない。
もしそうなったら、橘くんの厚意を無駄にすることになる。