その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「あ、あの橘くん……!」
「どうしたの?姫野さん」
けれど私が名前を呼ぶと、怖いオーラは消えてさわやかな笑顔を向けられるため、切り替えが早い人だなと素直に思った。
橘くんの怒りの矛先は本原くんだったのだ。
「わ、私ので良ければ食べてください……!」
まだオムライスが半分以上余っているため、橘くんさえ良ければ食べてもらおうと思った。
そうすればふたりの間に悪い空気が流れずに済むだろう。
「…………」
けれど橘くんからの反応はなくて。
恐る恐る顔をあげると、橘くんの指先がかすかに震えていた。
もしかして怒りを抑えている……?
調子に乗っていると思われていたらどうしよう。
やっぱりこんな行動にでるべきではなかったのだ。