その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「それにしても、今日は友達と遊びに行くのよね?」
そろそろ家を出ようと思ったそのとき。
お母さんの言葉にギクリとする。
そう、実はお母さんには『友達と遊びに行く』とうそをついているのである。
だって、恋人のフリをしている男の人とデートするだなんて言えない。
「そ、そうだよ……!」
「でも天音、やけに気合い入れてない?」
「き、気のせいかと!じゃあ行ってきます!」
あからさまに態度が変わり、きっとお母さんはなにかを察してしまっただろう。
そのため逃げるようにして家を後にした。
橘くんとは近くに映画館のある駅で待ち合わせをしている。
学校のある駅からさらに15分ほど先にその駅があった。
予定よりも一本早い電車に乗れたため、待ち合わせの時間より30分ほど早く着きそうだ。