その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
これは夢だと思いたくなった。
だって、ほんの数メートル先に立つ柱の前には、橘くんの姿があったからだ。
おかしい、約束の時間は10時のはず。
まだ今は9時半を過ぎたところだ。
それなのにどうして……。
「た、橘くん……?」
おそるおそるその名前を呼べば、彼はすぐに私のほうへと視線を向けた。
かと思えば、そんな彼も私を見ておどろいたように目を見開く。
嫌な汗が流れた。
これはもしかして……もしかすると。
「ご、ごめんなさい……!」
とんでもない過ちを犯してしまったかもしれない。
そのことを理解した私は、真っ先に頭を下げた。