その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
どうしよう、私は10時に待ち合わせだと勘違いしていたのだ。
橘くんがすでにいるということは、9時に待ち合わせだったのだ。
「待ち合わせの時間を勘違いしていて……あの、もう本当にどうお詫びすればいいのか……」
「…………」
30分も待たせてしまうだなんて。
本来なら怒って帰ってもいところ。
待ってくれていたのは、橘くんの優しさなのだ。
それでも怒るに決まっている。
これは謝って済む話ではない。
今この場で土下座しても、まだまだ罪は消えないだろう。
橘くんの口が開く気配はなく、なかなか顔を上げられないでいると、突然彼が私の片手を取った。
まさか触られるとは思っていなかったため、戸惑いながらも橘くんを見上げる。
「……姫野さんの、私服姿……え、天使?
待ってこれは直視できない……」
「た、橘くん……?」
どうしてか、橘くんは私と目を合わせてくれなくて。
大胆にも顔を背けられてしまう。