その溺愛、重すぎます!〜甘い王子様の底なし愛〜
「とりあえず落ち着いてホテルに行こうか」
「ホテル……」
映画館ではなくホテルという言葉にハッとする。
今からホテルという周りの邪魔が入らない場所で、お説教タイムだろうか。
もちろん私に拒否する権利はない。
それで橘くんの怒りが収まるのなら、甘んじて受け入れるつもりで……。
「いや違うな、俺たちは今から映画館に行くんだ……ごめんね、少し姫野さんのかわいさに酔ってるみたい」
「え、あの、説教じゃないんですか……?」
思わず敬語になるのは、私が悪いことをしてしまったからだ。
ホテルではなく映画館と言い直した彼の意図が分からなくて、つい聞いてしまう。