永遠、というものがあれば
「陽斗、」



「ん?」



「陽斗はどうしてこの仕事続けてるの?」



「う〜ん、ある人のおかげ。今俺がやってることも恩返しみたいなもんかも」



「どんな人?」



「すっげぇ厳しいけどあったかい人」



「会ってみたいな」



「…」



「どうしたの?」



「会えない。無理。」


天井をじっと見つめている陽斗。


「陽斗?」



「死んだんだ」



「…ごめん。会いたいなんて言って」



「ううん。俺にとっては大事な人だったし、大事な思い出だから」



静かに空気が流れてく。



「俺、その人がいなくなってから荒れはじめて…」



陽斗は上をむいたまま



「でも陽菜と会って、なんかすげー思い出してちゃって、あの頃のこと。不思議だろ?」



陽斗が私を見て優しく笑うから、



私も少し笑い返した。



「どんな人だったんだろう…。きっと素敵な人だったんだろうね」



「すげぇ大きい人だったよ。俺がここまでこの仕事続けられてるって絶対あの人のおかげだから」



陽斗がうれしそうに話すから、私もなんだかうれしい。



会ってみたかった。



陽斗がこんなに大切に思ってる人。
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