永遠、というものがあれば
運ばれてきた食前酒を口にする私と目が合うと、ニコッとするカズくん。



想像ができないんだけど…。



「陽菜、どした?」



いきなり尋ねられて、



「ううん!…おいしいね、これ!」



あまりにもベタなごまかし方だったけど、



急いでお皿のスモークサーモンのサラダを口に運んだ。



「陽菜は…かわらないよね…」



舞が少しかわいそうな目をして私を見つめる。



「ハハハ。舞ちゃんも鄙も変わらないよ」



そんな私達を見て、カズくんが笑う。



そうそう。



こんなことは昔からあったね。



でも…、こういう瞬間に私はふと「思い出せない思い出」を思い出す。



何かはわからない、でもとても大きな喪失感。
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