永遠、というものがあれば
祭壇に近づいたその時、


「う…ん…」


「ひゃっ!」


誰もいないと思ってたのに、人の声がして思わず出た自分の声を口に手をあてて消しながら、ゆっくりと周りを見渡した。






…誰?






一番前の座席に横になってるのは一人の男の人。



腕で顔は隠れてるけど、眠ってるみたい。


寝言?



でも、暖房は入ってるとは言え、この季節こんなところで寝てたら風邪ひくよ…。


ううん、でも起こして怖い人だったらそれは嫌だよね。



声をかけようかどうしようか迷っていると、



「…ひ…な……」



ん?



微かにヒナ、って聞こえたんだけど、まさかね。



それが自分の名前であるはずがないんだけど、私はそろそろと彼の方に近づいていった。
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