永遠、というものがあれば
「一番の理由は陽菜の体のことだから。一旦体がシャットアウトした記憶を無理に思い出そうとすると、陽菜、あんたの体自身が耐えられない可能性があるって。だから、カズマさんも…haruも……」



陽斗…。



彼はどんな思いでアメリカに向かったんだろう。



夢の中の『サヨナラ』という言葉が今聞こえるようで、私は両手で耳をふさいだ。



好きな人に忘れられるということ…。



そこには絶望しかない。



ハルト…



陽斗…っ!



「いやっ!……ごめん、ごめんねっ…!」



頭を抱え込んだ私を抱きしめたのはカズくんだった。


「いやっ、陽斗…ハルトォ…!」



「落ち着け、陽菜!」



しびれるような頭の痛みはあるけれど、今はこの締め付けられるような胸の苦しさが私を襲いつづける。
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