永遠、というものがあれば
私は急いでカズくんの顔を仰ぎ見た。


「陽斗、行っちゃった…ってホン、ト…?」


カズくんは目を床に落として私を見ないまま言ったんだ。


「あぁ。あいつ長いオフが欲しい、って。…今大事に思ってる人を幸せにしたいから、て言って……」



今日チャペルで聞いた陽斗の言葉が蘇る。


『好きな人がいる』



自分の体から力がするする抜けていき、私はそのまま床にへたりこんでしまった。



二年…。



時間は流れてるんだ。



陽斗の時間も…。



ただ、私だけ取り残されてただけ。



自分がマヌケなだけ。



陽斗、今どんな女性を見つめてるの?



私の時間はやっと動き出したばかりだから、まだそんなことを考えるだけで、この胸はこんなに苦しいんだ…。
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