永遠、というものがあれば
「カズくん、私行かなきゃ…」



私の言葉にカズくんは何かを決意したように私の手を引き上げ立ち上がらせた。


「?」



「陽菜、頭とか痛いとこないか?歩けるか?」



聞かれる質問にわけもわからずうんうんうなづいてる私にカズくんはいつもどおりの笑顔で、よし!と言ってから、私の手を引っ張って部屋を後にした。



「ちょっ…」


カズくん!?



カズくんは私の手をひいて前をむいたまま歩いて行く。



「あいつのところに連れていってやるよ」



びっくりして立ち止まりかけた私の顔を優しい笑顔で振り返り、また手を引いてあるきだす。



「カズくんっ!」


「『優しいお兄ちゃん』は可愛い妹の願いを叶えてやるもんだろ?」


カズくん…。


手を引っ張られながら涙をこらえる私に軽くウィンクをひとつして、エントランスでタクシーに乗り込んだ。
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