【完】溺愛男子の愛し方

道路に飛び出した私は、ボールを拾いに行き、そして……


『美音ちゃん、危ない!』


一番早く気付いた祐のお母さんが叫んだ後、祐も叫んだ


『美音ちゃん!!』


私の名前を呼んで、祐が来てくれたことに、私は嬉しくて笑った記憶がある


祐が、血相を変えていることも知らずに


『美音ちゃん!祐!!』


祐が私の所へ来て、抱きしめてくれたのと同時に、祐のお母さんが私と祐の所に来た


多分、私を助けようとした祐を助けようとしたんだと思う


その後のことは、目の前が真っ暗になって何も覚えてない


次に目が覚めた時には、病院のベッドの上で寝ていた


かすり傷などの手当てをされて


『美音!』


私の名前をお母さんが呼んで、それに安心したのか泣いてしまったことも覚えてる


そのすぐあとに、隼人の家族が来てくれたことも覚えてる


そこで私は、一人いないことに気づいた


『祐くんは?どこ?』


私のその言葉に、お母さんはビクッと肩を震わせた


そして……


『祐くんとはね、今日は会えないの。また今度よ』


なんでかは、私にはわからなかった


でも、その数日後、意味がわかった


その日は、祐のお母さんのお葬式だった


そのお葬式で、祐と久しぶりに会った


祐は大泣きし続けて、最後まで手がつけられない状態だった


それも仕方がないことだった
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