【完】溺愛男子の愛し方

『これからは、祐くんも一緒に住むことになったの』


両親が家に祐を連れてきた


私は、幸せだった


あの日までは……


その日は、中2の時で、真夜中だった


なぜか眠れなくて、私は1階のリビングに行った


すると、明かりがついていて、お父さんとお母さんが話をしていた


私はそれを、ドアの隙間から見ていた


その内容は、今でも覚えてる


『ねぇ、あなた。祐くんのことなんだけど……』


『養子の話だろう?』


『えぇ』


『そのことを、祐くんには話したのかい』


『話しましたけど、考えておきますって』


『まぁ、15歳まで、あと1年もある。焦ることはないだろう』


『そうですね』


話してる内容で、全て理解した


でも、まさか本当になるとは思わなかった


中3の冬、それを証明する紙をリビングの机で見つけてしまった


私と祐は、義理でも戸籍上は兄妹だから、結婚することができない


昔から、祐しか見えてなかった私は絶望した


そして、その日から“兄妹”という言葉を意識するようになった


いつの間にか、“幼なじみ”としてじゃなくて、“兄妹”として接するようになってしまった


両親や祐から、養子の話のことは何も聞かされてない


だから、私が知っていることを打ち明けなかった


今思えば、私たちの関係はとてもおかしいと思う


祐は、兄妹だってことをわかってるはず


それなのに、私を恋人にように扱う
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