【完】溺愛男子の愛し方

「どうせ、兄妹だってわかった時も逃げたんだろ?」


「ちが……」


「違わねぇーよ」


シャン!


隼人は、私が座っているブランコの鎖の部分を掴んだ


「いつまで、逃げる気だよ」


「逃げてなんか……」


「逃げてるだろ。どうせ、祐の顔も見たくねぇーからって、こんな所にいんだろ?」


……本当のことだから、何も言えない


「じゃあ、涙拭け。美音は、そんなに泣き虫じゃねぇーだろ?」


いつの間にか、泣いていた


「……そんなこと、初めて言われた」


少しおかしくって、クスクスと笑った


「……ごめんね、隼人。隼人の気持ち、嬉しいけど……」


「いいよ。美音が幸せなら、それで」


「……ありがとう」


少しだけ、心が晴れた気がした


「そろそろ帰らねぇーと、やばいんじゃね?」


「わっ!こんな時間!」


携帯を見ると、7時になっていて、祐からの着信が何件か来ていた


心配かけちゃったな……


「俺はもう少し走ってくるから、先に帰っとけ」


「……本当にありがとう」


「……頑張れよ」


「うん。じゃあ、また後で」


私は、急いで家に向かった


「……さよなら、俺の初恋……」


ポツンと発せられた言葉に、私は気づきもしなかった
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