【完】溺愛男子の愛し方
そこからの午後の授業は、今まで以上にとても長く感じた
早く終わって欲しい気持ちと、もう少しだけ猶予を欲しがる自分がいて、もはや授業どころではなかった
ようやく残りの授業が終わり、他の人たちは部活へ行ったり、帰ったりと教室に人がほとんどいなくなった
残ったのは、私と祐だけ
祐を屋上に誘おう!
ほとんど、勢いに近かった
「祐!」
私は勢いよく振り向いて、祐を呼んだ
「美音……?」
祐は、驚きを隠せない顔をしていた
ずっと避けていた私が急に祐の名前を呼んだんだもん
驚くよね
でも、私にはそんなことを気にしている余裕が心になくて……
「話があるから……屋上に来て……欲しい……。それだけ!」
それだけ言い残して、私は走って教室を出た
そのまま向かったのは、屋上……ではなく、中庭に向かった
中庭まで走ってきたせいか、心臓がとても早く脈を打っていた
もしかしたら、緊張しているのかもしれない
いろんなことが一気に頭を横切った
……祐と話すだけで、なんでこんなに疲れてるのよ
ていうか、一方的に押し付けてる時点でアウトじゃん
はぁ~……やらかした
今になって意識して焦るとか、バカか、私……
私の心は、パニック状態だった
とにかく、落ち着こう
これから自分の気持ち伝えるのに持たないよ
私は、何度も大きく深呼吸をした
……だんだん、部活をする人たちの声が聞こえてきた
かけ声、楽器の音、体育館から響いてくるボールをつく音……
たくさんの音が自然と私の耳に入ってくるようになった
……よし!
ようやく落ち着いた私は、急ぎ足で屋上に向かった