【完】溺愛男子の愛し方
食べていると、隼人はいつの間にか、機嫌を取り戻していた
私は、気になっていたことを聞いてみた
「ねぇ、隼人。なんで、イライラしてたの?」
「えっ?」
隼人は、すごく動揺した
絶対、何かあるよね
「な……なんでもねぇーよ。急になんだよ」
「だってさっき、すごくイライラしてたから、なんでだろうって」
「なんもねぇーよ……」
「私には、わかるから。幼なじみである前にいとこなんだし、何よりずっと一緒にいたし。それぐらい、嫌でもわかるよ」
「……」
「私が聞いてもいいことなら、聞くよ?」
「……から」
隼人は何か言ったみたいだったけど、聞こえなかった
「えっ?」
「……お前が……見られてたから……」
「……私が?」
「……自覚ねぇーのか?」
「自覚も何も、私を見る人なんていないよ」
「いたから、言ってるんだ。分かれよ」
「……なんでそれで、隼人が怒ってるの?」
「……はぁ~。お前、鈍感すぎ」
「なっ……!」
人を鈍感って!
「大体、私は“お前”じゃないし。ちゃんと“美音”って、名前があるし」
最後の方は、言い放つように言った
「んなの知ってる。……美音」
ドキッ
隼人が低い声で私を呼んだせいか、心臓が一瞬跳ね上がった